2023年度のクマ事情【BEARS JAPAN Vol.25 no.1 から抜粋】
JBNでは、日本全国のクマに関わる出没情報等をその年の「クマ事情」として毎年整理しています。今回ご紹介する「2023年度のクマ事情」は、会報誌「BEARS JAPAN Vol.25」に掲載したものからの抜粋です。
2023年度は、北海道及び東北において大量出没となり、捕獲数や出没数が大きく増加する傾向でした。そして、残念なことに人身事故も他年度に比べて増加の傾向でした。北海道では春先から出没が相次ぎ、市街地出没も頻繁に発生していました。しかし、地域によって出没の程度が違っていたことが報告されています。一方、東北では広域的な堅果類の凶作によるものと考察されています。各地区のクマ事情の中には、クマの管理の現場を携わる方々が課題を挙げており、各地域でのクマ管理における重要なポイントになると考えます 。
2022年度のクマ事情から、全国的にクマ類の出没・被害対策が重要なものという理解が進んでいる中、2024年4月にクマ類は「指定管理鳥獣 」に指定されました。ニホンジカやイノシシと同様に、捕獲を促進する仕組みになったとイメージされる方も多いと考えますが、捕獲だけではクマの管理が進められないことは過去の事例から明らかです。個体数や生息状況をモニタリング調査し、計画的な捕獲を実行すること、捕獲だけでなく被害対策を徹底し継続的に行う体制と仕組みを各地の実状に合わせて構築していくことが求められます。そのためには、各地域で活躍できる人材を育成していことも急務となります。クマ類が指定管理鳥獣に指定されたことにより、上記の調査・対策・体制づくり・人材育成が促進されることを切に願います 。
*下記画像をクリックすると、2023年度のクマ事情の記事pdfが閲覧できます。
*JBNの会報誌(BEARS JAPAN)では、クマ事情特集以外にも、様々なクマに関連する